見当識障害とは?

認知症の症状として、初期の段階から見当識障害が現れます。

見当識障害とは
現在の年月や時刻、自分がどこにいるかな ど基本的な状況を把握すること。

物忘れと認知症の見当識障害の違いはこちらの記事も参照
認知症の初期症状 物忘れと認知症の違いは?

「夜なのか朝なのか分からなくなる」
「自分がどこにいるのかわからなくなる」

この症状が進行してくると、日常生活でも様々なトラブルが生じるようになってきます。

物盗られ妄想の出現

見当識障害が進んでくると、大切な物がなくなってしまうという場面が多くなります。

認知症の方は特に、大事にしている物ほど「隠そう」とする意識が高くなるようで
大事だから隠す→隠し場所が分からなくなるという現象が起こります。

多くは財布だったり、通帳だったり。
無いことに気が付いた時は、大騒ぎになることでしょう。

前述のブログ記事でも紹介した通り、物忘れでは「財布をどこにしまったのか分からなくなる」のですが、認知症では「財布をしまったことを忘れてしまう」ので不安になり「盗られた!」となるのです。

さて。
介護する家族の方たちは、こんな時にはきっと「盗るわけないでしょ?自分でしまったんじゃないの」と、ついつい正論を言いたくなりますよね?

私もそうでした。
母の認知症が進み「財布盗られた」と毎日のように電話がかかってくるので
私「そんなことあるわけないやん。自分で買い物してるんやん。レシート見てごらん?」
母「誰かが私のお金で買い物したんやわ!」
私「冷蔵庫見てごらんよ、買ったもん入ってるで」
母「私のお金を勝手に使って。全部食べられた」
私「自分で食べたんやん!!(怒)」

・・・と、収拾がつかない会話で、気持ちはどんどんエスカレートしていきます。

在宅看護の経験も長く、認知症の対応もよく知っているはずの私が・・・です。

話は少し逸れますが。
親の介護が始まった時、自分でできる間は何とかしようと思ってしまいがちです。
でも、近親者であればあるほど、お互いの思いは強くなり
家族としては、今までの元気でしっかりしていた父母の姿が思い浮かび「どうしたの?何でそんななの?もうちょっとちゃんとして」と希望に目が行きがちになります。
介護される認知症の方も、他人の前では「取り繕い」と言って、認知症であることを悟られないように頑張ります。
ただ、記憶が曖昧になったことに対する不安は根底にありますし、何より「ちゃんとしたい」と思っているのはご本人なのです。
一番甘えられる家族には、ついつい本音が出てしまい、怒ったりしてしまうのです。

私の場合は。
そもそもが、出産後に母が泊まりに来てくれたのですが、2日くらいで大喧嘩になってしまった経緯がありました。
ある程度の距離感がなければ、きっと喧嘩してしまい、お互いのためにならないと思って
最初から、プロにお任せすることに決めていました。

介護は過半数をプロにお任せして、要所要所ではキーパーソンとして対応する。
時々顔を出して、笑顔で対応できる時間を確保する。
それが、介護が上手くいくコツのひとつだと思っています。
私の場合は、それで成功しました。

言い争いになって、お互いが嫌な思いを抱えたままでは、お互いがストレスになりますし。
認知症の方の対応で、「否定」や「強制」をすることで、周辺症状(BPSD)=物盗られ妄想、暴言、暴力などが酷くなる可能性があります。

笑顔で対応できる時間を長くする
そのために、できる範囲でプロ(介護士、看護師等)にお任せするのが一番だと思います。

物がなくなったとき、笑顔で乗り切るグッズ

物盗られ妄想対策の話に戻りますね。

物がなくなったとき。
上記のような言い争いをしていては、状況は改善するどころか、悪化するばかりです。

対策としては「なくなりそうな物は何個か用意しておく」です。

同じような財布を何個か準備して「なくなった」と言い始めたら「ここにあるよ、はいどうぞ」と、予め隠しておいた予備の財布を渡す。

そうすると。
「あら、そこにあったのね」であっさり解決します。

母の場合、財布を持たせると買い物に行ってしまい浪費してしまったり、迷子になって警察のお世話になることがあるので、財布は「盗られるから金庫に隠してる」で徹底しましたが。

タッチペンはすぐになくすので、百均で何本か準備しておき、なくしたら渡す。
出てきたらしまっておく・・・の繰り返しで、怒ることはなくなりました。

紛失防止タグで探すのも効果ありです。
ただこれは、タグを探すリモコンがなくなってしまうということが起こるので要注意です。
リモコンは隠しておきましょうね。

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