食べる楽しみすら奪われる?在宅介護における生活支援の現状

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宅配弁当導入しませんか?

神戸での在宅介護を開始したタイミングで、定期巡回随時対応型訪問介護看護を利用した。
≪参照≫緊急訪問も夜間の訪問も可能 在宅で介護を続けられる理由

介入当初は、一人で買い物にも行けたし、食べきれないほどの料理を作って毎日がパーティだった。
薬の飲み忘れと失禁はあるので、決められた時間の内服介助とPADの交換が、主な支援内容だった。

徐々に食事が作れなくなってきたので、コープの宅配で温めれば食べられる食品などの購入と、私が作った作り置きおかずを定期的に持って行っていた。

ある時担当者会議で受けた提案「宅配弁当を導入しませんか?」

冷凍の物ばかりだと栄養が偏る、メニューに同じものが続くから・・・という理由だった。

家族としての心の声

宅配弁当は1食だいたい500円前後。宅配の人件費もいるので、1食当りが割高になる。

そもそも。私が持って行った総菜や冷凍食品で本人は十分美味しいと言っているし。
メニュー構成くらいその中からヘルパーさんが考えてくれたら、問題解決するのでは?
私はそもそもお弁当嫌いなんだけど。
・・・と思ったけど、言えなかった。

正直、経済的にも厳しいけれど、夕食だけお弁当を導入することになった。

在宅介護業界における生活支援の変遷

介護保険は、要支援・要介護者の生活及び身体的介護を支援するサービスとして2000年に制定された。
医療機関で入院していることが多かった高齢者が在宅での生活にシフトされたこと、要介護者の増加に伴い徐々に「生活支援」から「身体介護」メインにシフトしていった。

当初は生活支援が多かったので、利用者さんも介護スタッフ=掃除のおばさん、料理を作ってくれるおばさんと認識している所があり、家政婦との混同されていることが多かった。

医療機関は90日を超えると診療報酬が低くなってしまうので、早々に家に帰したい。
そうして、まだまだ医療度や身体介護率が高い高齢者が在宅に戻ってくることになった。

必然的に、在宅での身体介護を占める割合が増え、生活支援が縮小せざるを得ない状況に陥った。

社会情勢、診療報酬、制度の変更などを経て、在宅生活における生活支援は最小限に縮小されているのが現状。

調理や掃除などは、できる範囲で本人や家族が実施。シルバー人材や民間サービスなどでの保険外サービスでの介入が主流になってきた。

母の生活支援の現状

以前は生活支援として行っていた「調理」は、今ではほとんど行われておらず。
母も、介護スタッフさんによる「調理」は味噌汁作り程度だろうか。

私はできるだけ、電子レンジで温めれば食べられるもの、インスタントの味噌汁、私が作ったお惣菜など、介護さんの手を煩わせないように気を付けていた。

ところが。先日の担当者会議で
「お惣菜も余ってきて食べきれないことが多いので、お弁当と冷凍食品メインにしてください」と提案された。

なんだかなぁ。
家族の負担を最小にすることはありがたいが、母が私が作ったヒジキの煮物やおからなどを「美味しい」と言って喜んでくれているその楽しみさえ、奪わなければいけないのか??
・・・と、心の片隅に残る違和感。

実情を言うと。
介護スタッフさんは外国人が多く、恐らくメニューの構成ができないのが原因の1つだと思う。
朝食が味噌汁+パンだったり、ご飯の上に麻婆豆腐とスパニッシュオムレツ乗っけたりするしね。

母から反面教師で教えてもらった「食べ物のこだわり」
それに伴いいがみ合ったこと、嫌な思い出はたくさんあるけれど。
母に今残されてる楽しみは「美味しいものを食べること」

私に今できることは、美味しいものを作ること。
もはや、それすら実現できないのか・・・?

介護が楽になって良いではないか?と思えばそうかもしれないけど。
複雑な気持ちで朝を迎えている



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在宅介護・在宅看護経験20年。
パーキンソン病+レビー小体型認知症の母親介護中
高齢者施設関係の仕事しています。
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