施設=悪?家族形態の変化によって看取りの場所も変わっていた

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施設=悪のイメージ

介護をしている方の訴えを聞いていると、施設に入れることに対して抵抗を感じておられる方が多い印象を受けます。

親を施設に入れるなんて・・・と、罪悪感を感じてしまわれるようです。

介護はしないのに口だけ出す親類などが
「施設に入れるなんて可哀想よ」などと追い打ちをかけて
更に罪悪感を募らせる悪循環に陥ります。

現代社会の介護問題

日本の約60%が核家族です。
昭和30年代までは、大家族が主流でした。
3世帯での同居は当たり前の風景で、おじいちゃんおばあちゃんの居る家で生まれ、子供たちはおじいちゃんおばあちゃんの死を身近に見て「死」というものを自然に受け入れてきました。

介護も当然家族がするのが当たり前であり、大人から子供までが役割を分担し、子育てから介護までを家族皆で支える家族形態でした。

昭和30年代核家族化が進むと同時に医療が発達し、病気になったら入院して、最期は病院で迎えるということが増えてきました。

1950年代から看取りの場所=病院が大多数となっています。
ところが。
高齢化社会が目の前に迫ってきた2000年代
働き盛りの世代に介護の問題が必須になってくることで、介護保険が制定され、介護の負担を減らそうとする動きが出てきました。

また、その時期と同時に「看取りの場所」の問題が浮上したのです。

日本の人口の3割近くが高齢者となることを目前にし、全ての高齢者の看取りの場所が病院になったら、圧倒的に病床数が不足するという問題が明らかになりました。

介護保険制定と同時に「看取りの場所」も在宅にシフトしましょうという流れが出来上がったのです。

昭和と令和 看取りの場所と家族形態

私も長い間在宅介護・看護の世界に身を置いており、当時は「自宅で看取りをしましょう。支えますよ」と、在宅介護を積極的に勧める立場でした。

ただ、介護を全て自分がしなければならないという強迫観念、ご両親を施設に入れたことに対し、後悔や罪悪感を抱えておられる方が多い現状。
そこに対しては「違いますよ」と声を大にしていいたい。

核家族ではなかった当時は、お嫁さんは仕事をしていなかった又は農業や自営業をされており、社会との折り合いを考える必要はなかったと思います。
勿論、家事の負担は今よりも数段多く、現代よりは大変だったことは大前提として。
それでも、小さい子供たちも手伝いをしていた時代ですから、仕事・介護・家事・育児全てを担っている現代とは少し状況が違うと思います。

その後は核家族化し、病院での看取りが当たり前の時代になり
ここに来て急に「自宅で介護」「自宅で看取り」を推奨するような動きになったことが、自分で介護をしなければならない強迫観念、施設に入所ささせることへの罪悪感を生む原因になっているのではないでしょうか?

地域包括支援センターを活用しよう

私が在宅での別居介護を選択した理由は「同居介護は絶対に無理」と思ったからです。

在宅介護の現場を見てきた経験から来る確証かもしれませんが。
そもそも、元気な時の母親とでも同居は絶対に無理だと思っていたので、介護となるとそのハードルはもっと上がることは予想できました。

在宅介護に関する知識があったので、どのようにケアを組み立てれば在宅独居が可能かというのが分かったというのは大きかったとは思いますが。

介護の相談がしっかりできれば、そこの問題はクリアできると思います。
地域包括支援センターなどで相談してみましょう。

笑顔で介護できる程度の距離を作ろう

65歳以上の高齢者で、3人に1人は老人施設に入居しています。
半面、介護を理由とした離職、介護離職は2022年で7.3万人でした。

介護は24時間365日です。
介護を始めると思ってもいない壁が、次々と立ちふさがることもあるでしょう。
介護はある程度「距離」を保つことが必要だと思っています。

昭和の大家族の時代のように、介護と家事の担い手は多くなく、現代社会では仕事という社会との繋がりも必須になってきます。
介護によって社会との交流が分断されると、介護者のストレスを増加させる可能性があります。

デイサービスやショートステイ、介護保険を存分に使って、できるだけ今までの生活が続けられるよう、社会との繋がりが分断されないように心がけたいですね。

現代社会では、少ない介護者で高齢者を支えるには限界があります。

お互いが「笑顔」で過ごすことができるのを1番に考えて、選択をしていけば良いのではと思います。

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在宅介護・在宅看護経験20年。
パーキンソン病+レビー小体型認知症の母親介護中
高齢者施設関係の仕事しています。
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