「その時」は突然やってくる
皆さんの家族が、ある日突然倒れて意識不明になった
延命処置を希望するかしないか
本人の希望が聞けない状態で、家族が判断しなければならない状況が訪れることがあります。
「延命」と「救命」を家族が判断することは難しく、それを家族だけで決めてしまうことに、迷いも生じることでしょう。
人工呼吸器を装着した場合のその後
例えば。
人工呼吸器を装着した場合の経過についてお話しします。
気道を確保する「挿管」、回復が難しければ「気管切開」そして「人工呼吸器」の装着
意識が戻って危機を脱することができれば、挿管や人工呼吸器の選択は外されます。
ただ、そのまま意識が戻らない、自発呼吸が戻らないなどの状態が続けば、人工呼吸器を装着せざるを得ない状況になります。
ご本人がお元気な時に「延命を望まない」と周囲に話をしておられたら。
人工呼吸器を装着しない、又は人工呼吸器を外すという選択をすることも視野に入ってきます。
羽幌病院事件
「延命処置の中止を希望する家族の同意を得て人工呼吸器を外した医師」の事件が有名かと思いますが。
実際に、家族の同意を得て然るべき経緯を踏めば、人工呼吸器を外すことができます。
ただ、そこには色々な障壁があります。
本人が本当に「延命を望んでいなかったのか?」の証明です。
親族の中でも、意見が分かれる可能性もあります。
実際に介護をしない、遠くの親戚の方が「呼吸器をつけたままでもいいから生きていて欲しい」と、突然モノ申してくる話は良く聞きます。
医療処置をした場合の療養場所
人工呼吸器を装着し、そのまま回復の見込みがなくなった場合で、介護を続ける場合はどのような方法があるのでしょうか?
※実際に処置を施した人の場合の対処方法を紹介しています。興味の無い方は読み飛ばしてください
急性期の病院は入院日数が限られており、退院を迫られます。
①入院したままの状態を望むのであれば、急性期の病院は転院せざるをえません。
②一定期間で病院は転院する必要があります。療養型病床などの特定の病院であれば、入院を継続することは可能です。
③在宅に戻る場合は、介護保険を使って訪問介護や訪問看護を利用しながらの在宅介護になります
④施設入所を希望される場合。医療処置が必要な方を受け入れ可能な施設は少ないので、必然的に選択肢も少なくなります。
最近は、ナーシングホームと言い、医療保険が使える病名の方が入所できる施設が増えてきました。
下記の病名がある方は、そちらでの入所が可能となります。
(下記の病名がなければ医療保険は使えません)
人工呼吸器を例にあげて紹介していますが、胃ろうや経管栄養、中心静脈栄養なども同様の条件です。
エンディングノートの活用
このように、延命処置を希望するのかしないのか、選択を迫られる日はいつ訪れるか分かりません。
意思表示を聞いている人が対応すればまだ良いのですが、必ずしもその瞬間に対応できるとは限りません。
また、その判断が本人同士だけでやりとりされた約束であった場合。
その親類縁者が突然出てきて「本当にそんなことを言っていたのか?」「何も処置をせずに見殺しにするつもりなのか?」などと、意義を申し立てる可能性も少なくありません。
「口から食べられなくなった時」「誤嚥性肺炎を繰り返すとき」→胃ろうをするかしないか
もしくは、点滴をするのかどうか
「延命処置をしない」「点滴はしない」とは決めていても、点滴や投薬等で状態が改善する可能性のある時は、治療を受けた方がいいです。
例:肺炎の治療のための抗生剤の投薬(点滴、内服)等
介護をしていると、様々な判断をしなければならない状況になります。
日本人は「死」=縁起でもないことと、話すことを忌み嫌う傾向にあります。
「元気だからまだまだ必要ないだろう」と思って、先送りすることもあります。
いざという時に困らないため、家族を守るためにも
家族で話し合っておくことが大切だと思います。
エンディングノートは色々な種類のものが販売されています。
地域で「人生会議」などの名目で、エンディングノートの書き方などのセミナーなどが開催されている場合もあります。
是非エンディングノートを活用した、家族で人生会議を開催してください。