認知症かも?と気が付いた時は、症状は進んでいます
認知症の前段階、軽度認知障害(MCI)は、物忘れと区別するのは難しいです。
認知症の症状と物忘れの違いについては、こちらの記事をご参考ください。
認知症と物忘れの大きな違いは、記憶がすっぽりと抜けてしまうのかどうかの違いが一番分かりやすいとお伝えしました。
ただし。
認知症になられた方は、物忘れをしていることや認知機能に不安があることを悟られないようにする「取り繕い」という行動を取ることがあります。
初期のうちは、ご自身でも「何かおかしい」と感じておられて、それを自らも否定しようとして、周りに気付かれないように取り繕うことが多く、気が付いた時には認知症が進行しているということが多くあります。
このブログで何回か話していますが
- 財布や通帳などの大事なものが頻繁になくなる
- 財布や通帳などを「盗られた」という発言が多くなる
- 食費が異常にかかる(同じものを何回も買ってくる。食べたことを忘れるので何回も食事を食べる)
- 排泄のコントロールが乱れてくる(便秘、尿失禁など)
- 汚れた服や下着などが箪笥の中から出てきたりする
というような症状のほとんどが、認知症の症状を隠そうとして起こる出来事です。
便秘に要注意
中でも、排便に関して良く聞くトラブルがあります。
- 汚れた下着を隠している
- 便を触ってしまう
- 糞尿で汚れた手であちこち触るので汚染している・・・等
介護の現場では「弄便(ろうべん)」行為が問題になります。
在宅介護されている方も、トイレやタオルについた便などを見て、うんざりされる方も多いかと思います。
「何で便を触るの?」「触らないでって言ったでしょ?」「ちゃんと手を洗って!」
と、怒りたくなる気持ちは分かりますが。
以前「徘徊は徘徊じゃない」ということをお話ししました。
「徘徊」ではありません!在宅で安心して暮らす地域の課題とは?
便を触るのには、ちゃんと理由があるのです。
私達は、便秘になれば「お腹が苦しい」「お腹が痛い」などと症状を把握し、対処することができます。
認知症になると、不快と感じることがあっても、それをどのように対応すればよいのかわからなくなることが多いのです。
認知症により過食や偏食、水分不足などにより便秘や下痢になりやすくなる→便が最後にいつでたのかも把握できなくなる→酷い便秘になる→肛門付近に硬い便が溜まって出なくて苦しい→「何かが詰まってる!」と感じて触ってしまう
または。
便秘や下痢、失禁などで下着が汚れてしまう→汚染してかぶれてしまい、痒みや痛みで不快を感じる→触ってしまう
いずれにしても、不快なことに対して何をしたらよいのか分からずに、触ってしまうのです。
また、汚れた下着や手などを、どうしたら良いのか分からずに、そのままタオルで拭いてしまったり、壁を触ったり、下着を隠したりしてしまうのです。
専門職の力を借りてください
もし、上記のような行為(弄便、便汚染など)があったら、是非専門職に相談してみてください。
在宅介護であれば、ケアマネージャーに相談してみて下さい。
訪問看護さんが来ていたら、看護師さんに相談してみて下さい。
認知症の方の便秘は意外に気が付かないことが多いです。
私の母親も、私が介護を始める前に緊急入院した時、酷い便秘になっていたそうです。
訪問看護師時代にも、認知症の方が便秘からくるイレウスで入院になったケースを何人か見ています。
私達看護師は、例えば1週間に1回の訪問であったとしても、次の訪問までに利用者さんがどのように排便コントロールできるのか、予測して看護しています。
訪問回数を増やした方が良ければ、調整したりします。
排便が良好にコントロールできて、便に対する不快感がなくなれば、弄便行為も少なくなります。
介護スタッフさんに介入してもらい、ある程度定期的にPADなどの交換をすることで、オムツかぶれなどを防ぐことも可能です。
そうすれば、PADを触ったり隠したりすることも少なくなります。
介護されているご家族は、何とかして自分たちで頑張ろうと思われる方が多いように思いますが。
使えるサービスは目いっぱい使ってください。
介護保険サービスでフォローできなければ、保険外サービスを使うことも可能です。
保険外サービスの事業所も増えてきていますので、是非ご相談ください。
こちらのコメントでも相談承りますので、お気軽にご相談ください。