2024年 3月 の投稿一覧

「何で便を触るの?」便を触ってしまう原因は必ずあるのです

認知症かも?と気が付いた時は、症状は進んでいます

認知症の前段階、軽度認知障害(MCI)は、物忘れと区別するのは難しいです。

認知症の症状と物忘れの違いについては、こちらの記事をご参考ください。

認知症の初期症状 物忘れと認知症の違いは?

認知症と物忘れの大きな違いは、記憶がすっぽりと抜けてしまうのかどうかの違いが一番分かりやすいとお伝えしました。

ただし。
認知症になられた方は、物忘れをしていることや認知機能に不安があることを悟られないようにする「取り繕い」という行動を取ることがあります。

初期のうちは、ご自身でも「何かおかしい」と感じておられて、それを自らも否定しようとして、周りに気付かれないように取り繕うことが多く、気が付いた時には認知症が進行しているということが多くあります。

このブログで何回か話していますが

  • 財布や通帳などの大事なものが頻繁になくなる
  • 財布や通帳などを「盗られた」という発言が多くなる
  • 食費が異常にかかる(同じものを何回も買ってくる。食べたことを忘れるので何回も食事を食べる)
  • 排泄のコントロールが乱れてくる(便秘、尿失禁など)
  • 汚れた服や下着などが箪笥の中から出てきたりする

というような症状のほとんどが、認知症の症状を隠そうとして起こる出来事です。

便秘に要注意

中でも、排便に関して良く聞くトラブルがあります。

  • 汚れた下着を隠している
  • 便を触ってしまう
  • 糞尿で汚れた手であちこち触るので汚染している・・・等

介護の現場では「弄便(ろうべん)」行為が問題になります。
在宅介護されている方も、トイレやタオルについた便などを見て、うんざりされる方も多いかと思います。

「何で便を触るの?」「触らないでって言ったでしょ?」「ちゃんと手を洗って!」

と、怒りたくなる気持ちは分かりますが。

以前「徘徊は徘徊じゃない」ということをお話ししました。
「徘徊」ではありません!在宅で安心して暮らす地域の課題とは?

便を触るのには、ちゃんと理由があるのです。

私達は、便秘になれば「お腹が苦しい」「お腹が痛い」などと症状を把握し、対処することができます。
認知症になると、不快と感じることがあっても、それをどのように対応すればよいのかわからなくなることが多いのです。

認知症により過食や偏食、水分不足などにより便秘や下痢になりやすくなる→便が最後にいつでたのかも把握できなくなる→酷い便秘になる→肛門付近に硬い便が溜まって出なくて苦しい→「何かが詰まってる!」と感じて触ってしまう

または。
便秘や下痢、失禁などで下着が汚れてしまう→汚染してかぶれてしまい、痒みや痛みで不快を感じる→触ってしまう

いずれにしても、不快なことに対して何をしたらよいのか分からずに、触ってしまうのです。

また、汚れた下着や手などを、どうしたら良いのか分からずに、そのままタオルで拭いてしまったり、壁を触ったり、下着を隠したりしてしまうのです。

専門職の力を借りてください

もし、上記のような行為(弄便、便汚染など)があったら、是非専門職に相談してみてください。

在宅介護であれば、ケアマネージャーに相談してみて下さい。
訪問看護さんが来ていたら、看護師さんに相談してみて下さい。

認知症の方の便秘は意外に気が付かないことが多いです。

私の母親も、私が介護を始める前に緊急入院した時、酷い便秘になっていたそうです。
訪問看護師時代にも、認知症の方が便秘からくるイレウスで入院になったケースを何人か見ています。

私達看護師は、例えば1週間に1回の訪問であったとしても、次の訪問までに利用者さんがどのように排便コントロールできるのか、予測して看護しています。

訪問回数を増やした方が良ければ、調整したりします。

排便が良好にコントロールできて、便に対する不快感がなくなれば、弄便行為も少なくなります。

介護スタッフさんに介入してもらい、ある程度定期的にPADなどの交換をすることで、オムツかぶれなどを防ぐことも可能です。
そうすれば、PADを触ったり隠したりすることも少なくなります。

介護されているご家族は、何とかして自分たちで頑張ろうと思われる方が多いように思いますが。

使えるサービスは目いっぱい使ってください。

介護保険サービスでフォローできなければ、保険外サービスを使うことも可能です。
保険外サービスの事業所も増えてきていますので、是非ご相談ください。

こちらのコメントでも相談承りますので、お気軽にご相談ください。

在宅介護に100%を求めてはいけない どこを妥協すればいい?

他人に任せることの難しさ

母は私の自宅から自転車で10分程度の所で一人暮らしをしています。

2022年の冬、大阪で緊急入院した母。
主治医に「一人暮らしは難しい」と宣言されたので、退院と同時に私が住んでいる神戸市に引っ越すように手配しました。

高齢者、特に認知症になると、環境の変化に弱くなります。

入院などで不穏になったりするのは、病気が原因のこともありますが、環境の変化に対応できないことが原因のことが大多数です。

致し方なく引っ越しを決めましたが、母が大きなトラブルもなく環境の変化に適応できたのは、ある意味運が良かったのかもしれません。

定期巡回随時対応型訪問介護看護を活用

退院後より、定期巡回随時対応型訪問介護看護というサービスを利用していました。

(サービスの内容については、過去の記事で⇩)
定期巡回随時対応型訪問介護看護ってどんなサービス?
定期巡回随時対応型訪問介護看護ってどんなサービス?②

定期巡回は

短時間、複数回の訪問が可能である。
夜間も対応可能
緊急時にもかけつけてくれる

というメリットのあるサービス。

当時、想像以上の回復力で元気になった母
薬を確実に飲むことが一番の課題だったので、1日に5回以上もある内服確認に訪問してくれるこのサービスは、とても重宝しました。

定期巡回随時対応型訪問介護看護のデメリット

事業所の数が少ない

これまで、定期巡回随時対応型訪問介護看護のメリットは沢山話してきましたが。

最近少し思うところがあったので、デメリットの事例の一つとしてお話しさせてもらいます。

定期巡回随時対応型訪問介護看護サービスは、利用者にとっては救世主みたいなサービスです。

ところが、様々な事情があって、事業所の数は少なく、利用したいと思っても利用できない人が沢山いるという状況です。

利用できたとしても、他の事業所がないので、たとえ不満があっても事業所を選べないということもあります。

サービスの内容に納得いかない

在宅介護を始めてから2年。
母のパーキンソン病も少しずつ進行し、自分で料理などを作ることはできなくなってきています。

最初の頃は、ほぼ自分で作った物。

少しずつできなくなってきたので、コープの個配で頼んだ冷凍食品(冷凍の丼物や、お好み焼きなど)を中心に、私が持参したお惣菜などで食事を準備してもらってました。

私がお惣菜を作り置きして、数品冷蔵庫に入れておくと、ヘルパーさんが毎食準備をしてくれるという体制でした。

が、ある時。
「同じメニューが続く」「栄養バランスが悪くなる」などという理由で、事業所側から宅配弁当の導入を提案されました。

お弁当は毎日取ると、なかなか高額になります。
できれば使いたくなかったのですが、事業所のスタッフさんも大変なんだろうと思い、忖度してしまいました。

定期巡回随時対応型訪問介護看護は短時間で多くの利用者さんを回るので、料理をしてくれない事業所さんが多いです。

そんな中で「料理もします」という事業所ではあるのですが、結局「より早く次の利用者に行きたい」と思っているのでは?

もともと自分が勤めていた事業所でもあるし、性格的に遠慮してしまう部分もあり、お弁当の導入を受け入れることになりました。

「総菜も控えてください」に疑問

お弁当を導入してからしばらく経過した日の担当者会議(ケアマネ、家族、事業所のスタッフが集まり、ケアの内容などについて話し合う会議のこと)で、料理のことが議題に上がりました。

私は、つくりおきしたおかずを持って行くのですが。
付箋に日付を書いたものをタッパに貼って、順番に食べれるようにしています。

・・・が、いつまでも残っていたり、賞味期限が切れても捨てずに置いてあったりしたので、何度か注意しました。

「日付の古いものから食べてください」「賞味期限が切れてしまったら捨ててください」等

それに対して事業所側からの意見は「お惣菜が多いので、食べきれない」ということでした。

結果、お惣菜を持ってくるのは控えめでお願いしますということになりました。

私は18歳の時に家を出ています。
それまでも、母に料理を習ったことはほぼ皆無で、料理を母に食べさせたこともほぼありませんでした。

結婚し子育てをする間に、料理のスキルも上がりました。
今回介護をすることになって初めて、私がつくった料理を食べることになった母。

「料理上手やねぇ。美味しいわ」と言って喜んでくれていた母。
少しでも好きな物、美味しいものを食べてもらいたい。

そう思って頑張ってきたおかずの差し入れを抑制されてしまった・・・・。

介護に100%を求めてはいけない

自分が介護する場合も、他人に任せる場合も、決して100%を求めてはいけないと思います。

自分が100%の介護をしようとすると、必ず無理が出てくる。

介護事業所に100%を求めることも、もっと無理なことです。

「手作り料理を少しくらいは食べさせたい」そんなささやかな要求も抑制されてしまうことに、正直納得は行っていません。

定期巡回随時対応型訪問介護看護では調理はあまりしないとしても、せめてお味噌汁くらいは作ってほしい(でも作ってくれない)

最初にもお話ししたように、定期巡回随時対応型訪問介護看護の事業所は事業所数も少なく、選ぶことができないというのが現状です。

別の事業所にお願いしても、また別の部分が不具合が生じる。

思うようにやりたければ、介護事業所に任せずに自分で介護すればいいじゃない・・・という話になりかねない。
でも「ここだけは」と思う所は主張したい。

答えは出ないし、正解も不正解もないのだと思います。
今回は敢えて話をまとめずに記事を終了させていただきます。

見てくださってる方のご意見など聞かせていただけると嬉しいです。


ひょっとしたら認知症予備軍?!初期によくある行動と予防策

認知症の症状の段階について

認知症はその症状別で4段階に分けられます。

軽度認知障害(MCI)
認知症初期
認知症中期
認知症末期

認知症には根本治療の薬はありません。
症状を遅らせる薬と、せん妄や意欲低下などの症状を改善する薬はあります。

また、改善方法は薬だけではなく、症状を遅らせる対処方法もあります。
認知症だと気が付いたら、早めに対応することが大事です。

認知症各段階の症状

軽度認知障害(MCI)

日常生活に支障をきたすほどではないけれど、軽度の認知機能の低下がみられる状態です。

  • 忘れ物・探し物の頻度が多くなる
  • 物忘れが多くなる
  • 同じことを繰り返す
  • 家事に時間がかかるようになる等

認知症初期

  • 物忘れの頻度が高くなる
  • 会話についていけなくなる
  • 日常生活の作業に時間がかかるようになる
  • 意欲がなくなる
  • 以前はできていたことができなくなる等

認知症中期

  • 日付・時間・場所などが分からなくなる
  • 食事したことを忘れる
  • 更に意欲が低下する
  • 新しいことは覚えられなくなる等

認知症後期

  • 意思疎通が困難になる
  • 筋力の低下、運動機能の低下
  • 嚥下障害がおこる
  • 家族の認知も困難になる等

特殊詐欺に騙されやすいのは初期

認知症になると、判断ができないので特殊詐欺に騙されやすいと思いがちですが。

実は、特殊詐欺に騙されやすいのは軽度認知障害(MCI)の段階か、認知症初期の段階です。

中期になってくると、相手の言っていることが理解できない。対応方法も分からなくなるので、騙すことすらできなくなります。

それでも最近は「不用品処分します」と親切そうに高齢者宅を訪問して、貴金属類を安い値段で購入していく悪質詐欺もあるみたいなので、注意は必要ですね。

認知症予防と認知症進行の予防

まずは認知症にならないための方法。脳科学の観点からのアプローチ

  1. 社会との交流を持つ
  2. 適度な運動をする
  3. 新しいことにチャレンジする
  4. アウトプットする

だそうです。

これは認知症を発症した方、初期段階にも有効なんですが。

孤立は認知症を進行させます。
現代社会は、集合住宅での生活が多くなり「隣の人は何する人ぞ」で、社会との交流が少なくなる傾向にあります。

ましてや、足が悪くなった、もともと一人が好きなどの理由で、外に出る機会が少なくなると、認知症上は悪化します。

独居の方で「まだまだ元気」と思っていた方が、急に認知症が進行してしまうのは、社会との交流が減ってしまっているのも原因の一つと思われます。

また、週に2~3回の運動(30分程度、軽く汗をかく運動)は、脳血流を増加させることにも有効です。

また、中高年の健康診断でも「30分程度汗をかく運動を週に何回しますか?」とかいうチェックリストありませんか?
メタボ予防、生活習慣病の予防のためにも大切です。是非習慣化してください。

「同じお店の同じものばかり食べてませんか?」

和田秀樹 不老脳

食べるものも「いつものお店のいつものメニュー」ではなく「今日はこれを食べよう!ここは美味しそうだ」と、常に新しいことにチャレンジする気持ちが大事だということでした。

それをまたアウトプットする。
人に紹介したり、SNSなどに投稿するなどすることによって、脳は活性化されるそうです。

認知症になったら、何もかもができなくなる訳ではない

認知症になったからと言って、すぐに何もかもができなくなる訳ではありません。

ただ、認知症の進行予防にと、急にドリルをさせたり、好きでもないことをやらせるのは、間違いです。

あくまでも本人が楽しくできることを見つけて、チャレンジしてみてください。